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ellie@社会人 にねんめ


by ellie_sheep

人間の安全保障

きょうは帰省しているついでに、アマルティア・センの「人間の安全保障」をスタバで読んだ。わたしは貧困の経済学を授業で斜め読みしたくらいで、本格的に読んだのは恥ずかしながらこれがはじめてだったんだけど、とてもおもしろかったし、普通にうんうんうなずきながら読んでたのでさぞ変な人だったんでしょう。
後半の「人権」と理論の話についてはなんかちょとピンとこなかったけれど、なぜ西洋=民主主義ではないのか、なぜグローバリゼーション=西洋化ではないのかという説明がとてもおもしろかったし、普段からもやもやしてたものがすっきり晴れた、という学問をする上でこれ以上ない喜びっていうのを得た感じ。

民主主義=公共の場での自由な議論という設定のもと、そんなものむかしっからアジア・アフリカにもあったやんけ、というのがセン氏の意見だった。西洋(ローマ・ギリシャ)の専売特許じゃないよ、と。公平な選挙を民主主義を定義することのあやまりは、ディベートの世界大会でドイツの大学が言っていたけれど、確かに「独裁者は選挙で選ばれる」のだからね。セン氏の定義のほうが正しいと思わざるを得ない。(そういう議論で独裁者が生まれる可能性はないのだろうか?)

そしてグローバリゼーション=近代化、西洋化ではない、というのはまさに印刷技術が中国で生まれる、数学の概念はインドで生まれるといった例を挙げながら、グローバル化することは技術やらをお互いの国同士が学ぶことであって、それは文化を崩壊するとか悪い意味ではないってことを述べていた。もちろんそうしたいろいろを調整するための制度は必要だけれど、グローバル化を拒むほうが長期的には悪い、と。わたしは「じゃあ将来は国単位で動くことはなくなるんだろうか?」とか「リナックスモデルのように、オープンソースでみんなが技術開発するようになるんだろうか?」とかいろいろ妄想してしまったのだけど。(日本で移民を許可する場合はどうなるのかな?)

テロに使われる武器の半数を、国連安保理常任理事国が作っているというのは驚いたし、開発途上国に対しての援助を、「先進」である「責任」として考えると、いろいろなことがすっきりいくのだなと思った。

帰省する新幹線の中で「社会科学入門」という80年代の本を読んだら、社会科学とは社会学、法律学、経済学のことを指すらしい。そんなことも知らずにいた。だからきっとうちの学部の総合政策って、社会科学のことを指すのだと思った。
さらに別の本では経済学の「エコノミクス」とは「オイコノミクス」だかなんだかを語源とし、数字や数式いっぱいの経済のイメージとは違い、「どうしたらよりよい世界になるのか」について考える学問であるということを知って、、、、認識の枠組みがどんどん変わっていっている。こういうストレッチングはとてもとても楽しい。わたしは「自分のあたまで考える」ということを標榜してこの大学に入ったのだし、それを評価されて入学が許可されたのだし、もっと自分のあたまで考えないとだめだ。

それを考えると、これまではほぼ脳死してたんじゃないかと思うくらい、なにも考えてなかったと思う。反省しなきゃいけない。自分を痛めつけるのとは別の方法でしっかり、自分の欠点を見つめないと。


こういう学問的ストレッチングに加えて、花田先生がおっしゃているような「人間力」って大事だなと思う。人の悪口言わないとか、集団のなかでもっともよい問題の解決策を探すとか、人同士の多様性を認めたうえで議論するとか、きちんと自分の情報をギブすることとか。わたしはそっちのいわゆる「EQ」がかなり低いと思うので、もっと鍛えたいと思うし、鍛えないと自分自身もつらくなると思う。
by ellie_sheep | 2006-02-10 02:44